シゲっちの日記

料理人です。

イタリア的クリスマスの過ごし方。


いよいよ2021年の年末が目前へと迫ってきました。年末の一大イベントといえば、クリスマス!カトリックの総本山・バチカン市国があるイタリアにとっては、一年で最も重要な日でもあり、一家全員が揃う日でもあります。イタリアではクリスマスが日本の元旦のような日なのです。そんなイタリア的クリスマスの過ごし方をお届けしたいと思います!

イタリアでは、12月24日から1月6日までの期間をクリスマスシーズンと呼び、12月初旬になると大きなクリスマスツリーとプレゼーペが次々と各都市のメイン広場に飾られていきます。
プレゼーペとは、キリストの生誕を再現した置物で、日本でいうお雛様のような感じです。自宅に置く小さな置物程度から、ジオラマ、そして、広場には等身大の大きさの物も立てられたりもします。

クリスマスディナー
さて、クリスマス・イヴにはチキンを食べるのが恒例となっている日本ですが、本場イタリアでは「魚料理」を食べるのをご存じでしたか?肉はキリストの肉、そして赤ワインはキリストの血とされ、キリストが誕生する24日には魚料理を食べるのが恒例となっています。
そして、クリスマスディナーの最後の締めは、何と言ってもイタリアを代表するクリスマスケーキ「パネットーネ」と「パンドーロ」。

ミラノ代表 パネットーネ!
フルーツの砂糖漬けや干しぶどうがふんだんに使われ、天然酵母を使い時間をかけて丁寧に作られたほんのり甘い大人の味のケーキで、イタリアのクリスマスに欠かせない伝統的なドルチェです。さて、この「パネットーネ」。名前の由来は諸説ありますが、有力なのがミラノ公爵の宮廷でクリスマスディナーが行われ、その席で振舞われるはずだったケーキを焦がしてしまいました。そこで、シェフの元で見習いをしていた青年トーニが急遽作ったスイーツが、ドーム型のパンでした。大変好評を得たパンですが、その時にこのお菓子の名前は?と聞かれ、シェフが咄嗟に「Pane di Toni (パーネ ディ トーニ。トーニのパンという意)」と言い、その後パネットーネとなりました。ケガの功名から生まれた名ケーキとなりました。

ヴェローナ代表 パンドーロ!
卵とバターを使い、バニラが香るシンプルなケーキ。パンドーロは、パネットーネとならんでこちらもイタリアのクリスマスに欠かせない伝統的なドルチェです。パンドーロの起源は、古代ローマにまでさかのぼるともいわれておりますが、現在食べられているパンドーロは、1894年10月14日、ドメニコ・メレガッティがヴェローナにおいてパンドーロを生産する工程の特許を取得したことに始まります。「黄金のパン」の意味を持つパンドーロは、ちぎって食べるだけでなく、お子様と一緒にクリスマスツリーやハリネズミなど簡単に作れるかわいいデコレーションケーキとしてもお楽しみいただけます。

そして、そして毎年決まって行われるのが家族内のパネットーネ派とパンドーロ派に分かれスイーツ合戦。どこのメーカーの物が良いとか、干しブドウが入ってないパネットーネがよいとか・・・ そこに加え近年では、『今風に』アレンジされたパネットーネやパンドーロも誕生してきているため、家族内からのリクエストはさらにエスカレート!!この意見のまとまらない家庭内抗争も毎年の恒例行事(笑)

食べっぱなしのクリスマスシーズン!
24日のイヴから始まり、25日のクリスマス、26日(祝)聖ステファノ、大晦日、年始と続き、そして1月6日(祝)エピファーニアをもってクリスマスシーズンが終了します。盛大な夕食やランチが続くこの期間は、基本的に食べっぱなしなのもイタリアならではの光景。当然、もれなく皆さん太るのですが・・・中には5~10キロ太る人も!クリスマス明けにはスポーツジムが大盛況となり、またその光景が毎年決まってニュースで取り沙汰されるイタリアでした・・・ 笑

今年は、イタリアのファッションブランドも続々とパネットーネを販売するなど、日本でもにわかに人気急上昇中のイタリアン・クリスマスケーキ。今年は、シーフード料理にパネットーネ/パンドーロでイタリア的クリスマスを楽しんでみてはいかがですか?